チタンが骨とくっついて離れない3

整形外科医のブローネマルク博士は骨と外れないチタンの現象を見て、強い興味を持ちました。外れないという特質を、何かに使えないかと考えたのです。

チタンが生体にくっつくというのは、現在では「オッセオ・インテグレーション」といわれていますが、当時はその言葉がなく「ボーンアンカレッジ」と言っていました。
オッセオ・インテグレーションというのは、ブローネマルク博士が「osseos(骨からなる)」と「integration(一体化)」を組み合わせた造語です。

骨の再生の原理を究明するという実験から、チタンと生体の意外な関係があきらかになっていきました。

博士は、もう一つ興味深い実験を行っています。
腸管骨という骨の一部を切り取り、骨が再生するかどうかについて実験を行いました。腸管骨は、真ん中が空洞になっている棒のようなものなので、この骨を覆っている骨膜を剥いで中の骨を取り去ります。そして、血管がついた骨からとった骨膜を袋状に縫い合わせました。

しばらく時間をおくと、その袋の中にふたたび骨ができて骨膜の中で骨が再生されるということが確認されました。これにより、骨膜も骨を作ることができるということがわかりました。