骨とチタンの密着状態を確認するために、インプラント体に鎖を連結してつり上げても、まったくインプラント体は抜けません。100キログラムの力で引っ張っても抜けないということがわかり、チタンのオッセオ・インテグレーションは証明されました。
その後、ブローネマルク博士は、愛犬の足の骨を一部切り取り、そこに骨の代役のチタンのフレームを埋めて、インプラント体で固定したところ、チタンは生体とくっつき足の代わりを果たしました。
犬が尻尾を振って、実験室を博士と歩いている写真が残っています。まったく、普通と変らないかわいらしい犬の動作です。
犬の死後、解剖してみたところ、真ん中に空洞があったチタンのフレームの間には骨ができていて、骨とチタンはピッタリくっついていることが確認されました。
チタンという金属は、汚れやごみといった付着物がつきにくいという特質を持っています。インプラント体と骨のくっついている部分を電子顕微鏡で見ると、チタンと骨の間には100万分の1ミリメートル以下の隙間しかないということも確認されています。
チタンは生体と一度密着すると、なかなか離れないのです。