世界初のチタン製のインプラントを埋入したヨスタラーソン博士は、2006年1月亡くなりましたが、それまでずっと同じインプラントを使い続けました。実に40年以上にわたり同じインプラントを使用し続けたのです。
1970年代になり、ブローネマルク博士は、1965年以降の5例の成績をスウェーデン国内で発表しようとしましたが大反対に遭いました。
「うそを言っているのではないか」
「データを捏造しているのではないか」
と中傷され、学会にも参加できず、また講演をしている最中に中止を余儀なくされるなど多くの迫害を受けました。
一方で、多くの医師や研究者がインプラントの研究を続けました。
スウェーデンのアデル教授は、1965年から1980年までの15年間ブローネマルク博士らが行ったインプラント治療のデータをとり、それをもとにしたプロトコールを1981年に学会で発表しました。
その間、下顎に1016本、上顎に986本のインプラントを埋入して、その成功率が発表されましたが、98パーセントと高い成功率となっています。
もちろん初期の頃は失敗が多かったのです。
インプラント体はチタンが骨に付くまでに4ヶ月から6ヶ月かかりますが、条件のいい患者さんに対してはインプラント埋入直後に歯を被せました。すると、40パーセントは抜けたり炎症を起こしたりと失敗が起こっています。原因は、いきなり歯を被せたことや、埋入の時に熱を持たせたことだったことがわかり、治療法を改善していきました。
この発表を受けてスウェーデン国内は騒然となりました。