歯が失われた時点から体内への骨の吸収は始まります。入れ歯を入れても、入れないで抜けたままにしておいても、骨が吸収されます。
歯があるときには噛む力がかかり骨に刺激が伝わるので、骨のリモデリングのサイクルが機能します。骨は刺激がかかることで破骨細胞と骨芽細胞が活発に働いて、古い骨を壊し新しい骨を作り上げていきます。このサイクルを2年かけて行ない、骨を新しくします。
ところが歯を失い骨にかかる刺激がなくなってしまうと、リモデリングのサイクル機能が落ちていき、やがて骨は新しく生まれ変わることもなくなり、吸収されていきます。
たとえば、人間は歩かなくなると足が弱ってくるのと同じです。
これは、立って歩くときに重力がかかり、この際、骨の中を電気信号が流れます。これにより、大腿骨の中で骨のリモデリングのスイッチが入ります。歩くことで、大腿骨の古い骨が壊され、新しい骨が作られるので、骨は2年で新しいものに変わっていくことができます。これがうまく機能している限り、2年前の古い骨は身体にはまったくないということになります。