入れ歯を作るとき、保険と自費で迷いませんか?
保険医療とは! 国が定めた材料と技術で最善の治療
自費治療とは! 保険治療以外の材料と技術を用いる治療
患者様のお口の中の状況、生活環境や生活習慣などを考慮します。
最適と思われる材料と技術を選びます。
治療計画が保険の適用範囲を超える自費治療を提案することもあります。
自費治療は、使用する材料や、入れ歯の制作方法も異なるので、保険治療に比べて費用は高くなります。
患者様は、歯科医師が治療計画を立てる際の考え方や治療法の説明を受け、十分に理解する必要があります。経済的な状況等も考慮して、ご希望をお知らせいただき、保健医療・自費医療で、より良い治療計画を立てましょう!
入れ歯の部位名
まず、大まかな入れ歯の部位の名前です。
床部分 (義歯床) |
お口の中の上あごに密着させる部分、または歯ぐきの上の歯の土台となる部分 |
バネ | 入れ歯を固定するために歯にかけるためのもの。クラスプや鈎(こう)と呼ぶこともあります。 |
バー | 左右の奥歯などをつなぐ架け橋を「バー」と呼びます。プラスチック(レジン)床でつなぐ場合と金属のバーでつなぐ場合があります。 |
人口歯 | 歯となる部分。 |
総義歯の「床部分」の種類
総義歯(いわゆる総入れ歯)の種類を分けるとき、比較しやすいのが、「床部分」です。
上の歯の口裏に密着させる床部分は、大きくプラスチック(レジン)床と金属床に分けられます。
プラスチック(レジン)床と金属床の比較
プラスチックと金属の最大の違いは、金属床の場合は床部分を薄くできる点です。
プラスチック(レジン床)と金属床を比べるための説明用義歯
プラスチック(レジン床)と金属床の厚さの計測
プラスチック(レジン)床と金属床の長所と短所
プラスチック床は、制作方法にもよりますが、一般的に保険が適用されるため、安価に治療できます。
金属床の場合は自費治療ですが、総入れ歯の場合は「選定療養」の制度によって治療費の一部が保険で支払われるので、患者さんの負担が軽減されます。これに対し、部分入れ歯の場合はすべて自費治療になります。
※「選定療養」の制度に関しての詳細は、担当歯科医師にお尋ね下さい。
プラスチック床 | 金属床 | |
長所 | ・ 金属床より軽量である。 (一部の金属床を除く) ・ 加工や調整がしやすい。 ・ 比較的安価 |
・ 金属は丈夫なので薄く作ることができ、そのため口の中がせまくならない。 ・ 変形しにくい。 ・ 食べ物の温かさや冷たさを感じやすく、おいしさを味わうことができる。 |
短所 | ・ 変形しやすい。 ・ 金属床に比べるとこわれやすい。 (破折しやすい) ・ 熱の伝導性が悪く、丈夫さを補うためにどうしても厚くなるので、より熱を伝えにくい。 |
・ プラスチックより調整がむずかしい。 ・ 金属味を感じることもある。 ・ 高価 |
金属床の種類
チタン合金 | コバルトクローム合金 | プラスチック | |
上の総入れ歯 | |||
部分入れ歯 | |||
特徴 | 生体親和性の高い金属で、金属アレルギーの心配はほとんどないと言われています。比重が小さいので軽い入れ歯ができます。味覚も損ないにくい金属です。 | 入れ歯用金属材料として昔から長く使われている信頼性の高い金属です。他金属と比べると、比較的安価な金属です。金合金より軽量です。 | 保険適用の場合、使用できる材料やデザインに制限がありますが安価にできます。 保険適用の場合、使用できる材料やデザインに制限がありますが安価にできます。 |
「取り付け方法」での種類
一般的なプラスチックの「入れ歯はバネで固定しますが、バネだけでは不安定なので土台の部分を大きくしたりするため、違和感がでることもあります。
自費にはなりますが、極力バネを使わず安定感や噛む力を高め、なおかつ目立たなくする方法(アタッチメントと呼びます)もあります。
- 「マルチコン義歯」
- 入れ歯と隣接する歯を凸凹の組み合わせのように精密に加工し、しっかり固定するように制作するので安定性に優れています。脱着をロック式にすることもあります。
(注意 設置には隣接する歯が必要です)
- 「テレスコープアタッチメント義歯」
- 「コーヌスクローネ義歯」
- 一般にコーヌス義歯と呼びます。土台となる歯に角度をつけた冠(内冠)をかぶせ、入れ歯の内側にも内冠の角度に合わせた冠(外冠)をつくります。茶筒のふたのように、何のひっかかりもないのに、しっかりと固定されますので安定性に優れています。
(注意 設置には隣接する歯が必要です)
- 部分入れ歯「磁性アタッチメント義歯」
- 残っている土台の歯に磁石と相性のいい金属を取り付け、入れ歯には小型の強力な磁石を付けます。すると磁石により固定されます。シンプルな構造なのでお手入れも容易にできます。
(注意 設置には土台となる歯が必要ですが、歯の根だけでも設置可能な場合もありますので歯科医師にご相談下さい)
- 総入れ歯「磁性アタッチメント義歯」
- 残っている土台の歯に磁石と相性のいい金属を取り付け、入れ歯には小型の強力な磁石を付けます。すると磁石により固定されます。シンプルな構造なので、お手入れも容易にできます。
(注意 設置には土台となる歯が必要ですが、歯の根がある場合や「インプラント」により設置が可能な場合もありますので、歯科医師にご相談下さい。)
- 「スマートデンチャー」
- バネの部分の金属を使用しないため、見た目に優れています。
床部分に柔軟性のある改良型特殊樹脂を使用した入れ歯です。
(注意 設置には隣接する歯が必要です)
- 「ソフトプレートデンチャー」
「軟性レジン床義歯」 - 入れ歯と歯ぐきとの接面をプラスチックより軟らかい樹脂で加工するため、歯ぐきに痛みがでる症状を軽減できます。
- 「インプラント」
- 歯肉の下のアゴの骨に直接、義歯や入れ歯を固定する器具を埋め込む方法です。
(注意 口腔外科手術となりますので、必ず十分な説明を受けて下さい。お口の中の状態により、治療ができない場合もありますので歯科医師にご相談下さい)
入れ歯が出来るまでの簡単な流れ
- 1. 患者様のお口の状態を診査診断
- 2. 必要があれば鈎歯(バネをかける歯)等の調整・治療
- 3. 型を採る
- 4. 噛み合わせを採る
- 5. 技工所等へ設計・制作の指示
- 6. 仕上がった義歯を調整
- 7. 装 着
- 8. 患者様が納得するまで調整
- 9. 完 成
- 10. 完成後、定期的に検診を受けましょう