インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう⑨

【患者さんを思いやる、人間性を持った医師であること】
最後のポイントは、とても情緒的な部分ですが、この点もまた医院選びにおいて絶対に軽視できない点だと確信しています。

治療技術を持った医師であることを前提に申しますと、たとえどんなに治療技術に長けていても、患者さんに冷たい先生や、患者さんの気持ちを考えてくれない先生だったらイヤなものです。

本当に人間として信頼できる医師であるかどうかは、その医師との会話からわかると思います。
その先生に人間的魅力を感じたなら、治療を受けることを決心していいかと思います。そもそも、腕の良い本物の医師であればあるほど、人格においても素晴らしい場合が多いものです。

インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう⑧

【治療後のメンテナンスがしっかりしていること】
基本的にインプラントは、歯周病になりさえしなければかなり長持ちします。
インプラントの10年後の残存率は95%です。残りの5%の原因は歯周病です。歯周病は、土台の骨を溶かしてしまいます。

歯周病は、天然歯を失う一番の原因です。これはインプラント治療にもあてはまります。インプラントは、天然歯と違ってむし歯にはなりませんが、歯周病の脅威は天然歯と同様です。

せっかくインプラント治療をしたにも関わらず、歯周病で失ってしまうのは、あまりにももったいないことです。
歯周病の予防には、治療後のメンテナンスがものをいます。インプラントの寿命を延ばすためにも、手術後の定期検診を行っている歯科医院であるかどうかも確認していただきたいと思います。

たとえば手術後は3~4ヶ月おきにPMTC(洗浄器具を使ったクリーニング)を行うことは重要です。これを行うことで、インプラントも天然歯も、長持ちするようになります。

メンテナンスをしっかり行っているかどうかは、患者さんに対する歯科医院の姿勢をあらわしています。メンテナンスにも手を抜かない歯科医院は信頼できます。定期検診体制をきちんととっている歯科医院を選ぶようにしてください。

インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう⑦

インプラントを1本15万円などの低価格で提供している医院があります。そういう医院は、表向きは経費削減とか、大量仕入れとか、宣伝広告費の圧縮とか言っておられますが、この金額で丁寧で精密で、そして患者さんのことも考えたインプラント手術を実施するのは、かなり無理があります。

そういった医院の実態は、薄利多売方式になっており、治療の質の大幅な低下、難症例への対応不備、あるいは失敗、そして訴訟を多く抱えているというのが現状です。実は、宣伝広告費もたくさん使っています。保証のないところもあります。

なかには、かぶせ物の質を落としたり、アジア製のコピーインプラントを大量に仕入れてスウェーデン製と言ったりしている医院もあり、こうした歯科医が誠実でないことだけは明白です。

安さを売り物にしている医院にかかるのは、以上の理由で考え直したほうがいいと思います。
あとそれにつけ加えて、高い安いだけの話ではありません。その歯科医院が提示している価格が細かい明細まで表示され、透明性があるかどうかなのです。

「○○万くらいでしょう」というようなあいまいな説明ではなく、治療内容に応じた判りやすい価格をきちんと提示してくれるかどうかを確認してください。

インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう⑥

【治療費の安さを謳い文句にしていないこと】
インプラント治療は自由診療のため、保険が適用されません。それゆえ、通常の歯科治療の感覚からすれば、インプラント治療の費用はどうしても高価になります。誰でも費用に関してはシビアですから、少しでも安い歯科医院を見つけて、それを決定材料にしたくもなります。しかしここで冷静に考えてみてください。

インプラント治療は自由診療なのですから、歯科医の裁量で価格設定ができます。それなのに、安くしているのはなぜなのでしょう。

患者さんを集めるために、安さを謳い文句にしているとしても、安くできるだけの理由があるはずです。そのことを疑ってみることも、時には必要です。むろん高ければ安心と安直に思うことも危険ですが、しっかりしたインプラント治療を受けようと思えば、おのずと適正価格は決まってくるものなのです。

インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう⑤

骨を立体的に見られるのは、CT撮影だけなのです。
そのことは、どの歯科医でも重々承知しているはずです。

ではなぜ、CTスキャナーを備えていない歯科医院が多いのか。答えは単純です。
CTスキャナーは高価だからです。1台で3000~4000万円ほどします。所有しようと思っても、そうやすやすと導入できるものではないのです。

しかし、これだけ高価な設備を医院内に備えているならば、その歯科医院がインプラント治療に対して真剣に取り組んでいると言えるだろうことは分かるでしょう。本気度も習熟度もかなり高く、勉強もしっかりしているはずです。

ですから、CTスキャナーのあるなしが、より良い歯科医選びの最も判りやすい基準になるのです。

CTスキャナーを備えている歯科医院であれば、ホームページに記載することが多いので、ホームページをチェックしてください。また、訪ねて行って率直に聞いてみるのもいいでしょう。

インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう④

【CTスキャナーなどの最新設備があること】
その歯科医院がインプラント治療技術に長けているか、高い習熟度を持っているかを判断するのに、非常にわかりやすいポイントがあります。それはCTスキャナーを医院内に備えているかどうかという点です。

CTスキャナーとは立体的に骨の状態を撮影する設備で、インプラント治療には欠かせません。CT撮影なしでインプラント手術をするのは、海図を持たずに航海に出るようなものです。

インプラント治療の手術で大切なポイントは、患者さんの骨の状態を正確に把握することなのです。そして、どこにインプラントを埋め込むべきか、あらかじめ計画を立てることなのです。
この過程なくして、その患者さんにとって、適切な治療は行えません。なぜなら、骨の形状や密度には個人差があるからです。
患者さんの状況に応じて、手術は行わなければなりません。
おそらくどの歯科医院にもレントゲン設備はありますから、事前にレントゲン撮影は行うでしょう。

しかし、これだけでは骨の状態が平面でしか判りません。

インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう③

【常に勉強する意識を持っていること】
インプラント治療の技術をもちろんのこと、医療の進歩は日進月歩です。医師にとって、この技術と知識さえあればOKということはありませんので、安住しているわけにはいかないのです。日々の技術の進歩についていくための努力も、常に医師に問われる部分です。

前向きな医師は、学会や講習会、研修会に積極的に参加し、世界中で次々と発表される最新の論文を読むことを怠りません。

確かに、これから治療に通おうと考えている段階で、医師の積極性を見極めることは難しいのですが、たとえば待合室に貼ってあるサティフィケート(研修修了書)なども参考にしてください。

【インフォームドコンセントがきちんとされていること】
インフォームドコンセント。この言葉は、最近ではずいぶん広く知れ渡り、多くの方々に定着しています。
もともとこの考えは、1970年代のアメリカの医療界で広まり、日本では1990年代から使われるようになりました。

言葉の意味は、医師が患者さんに対し、これから受ける治療の内容や方法や効果、危険性、その後の影響、治療に必要な費用などについて、十分かつ丁寧に、わかりやすく説明をすることを意味します。一方的な説明ではなく、患者さんが理解し、同意(納得)することまでを含んでいます。

インプラント治療は高度な治療方法です。それだけに、このインフォームドコンセントを周知徹底している歯科医院でないと、信頼すべきではないと思います。

インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう②

なぜ治療回数が少ない医院が多いかと言いますと、簡単なインプラント治療しかできないため症例数が乏しくなるケースが挙げられます。または、あまり自信がないため、患者さんに強くすすめられない、あるいは患者さんが少ないという歯科医院もあるようです。

ひどい歯科医院では、インプラント治療を行うときだけ知人の歯科医に手術道具を借りている人もいます。ちょっと冷や汗が出るような話です。
そんな歯科医でも、貫禄があって堂々としていると腕の良い医師に見えてしまいます。外見に惑わされてはいけません。

思い切ってこう尋ねてみてください。「こちらの医院は、月に何回くらいインプラントの手術を行っているのですか?」と。
そこで困ったような顔をしたり、あいまいに答えをぼやかしたりするようであれば、治療を受けるのはちょっと待って、検討し直すべきでしょう。
医師には、患者さんの質問に答える義務があります。明快に答えられないということは、答えられない理由があるに違いありません。

では、具体的に月に何回の手術を行っている歯科医院であれば、信頼するに足るのでしょうか。
理想の回数は、月に30回ぐらいだと思います。

少なくとも、毎月10回程行っていることがボーダーラインだと思います。その程度の回数を答える歯科医なら大丈夫でしょう。

手術は、あまり間隔が空くようでは感覚を忘れてしまいますし、技術向上が図れません。コンスタントな経験だけが、医師の腕を磨くのです。

インプラント治療の成否は歯科医院選びで決まってしまう①

インプラント治療の成否は、歯科医院選びの段階でほぼ決まってしまいます。治療がうまくいくかどうかの分かれ目は、実はすでにそこにあります。

では早速、歯科医院を選ぶ基準をお教えしましょう。
次の条件が揃っている歯科医院であれば、信頼し、安心し、治療を任せてよいと思います。

【実績が豊富であること】
まずはインプラント認定医であることは、最低限の条件です。認定医であれば、認定医であることを隠すメリットがないため、ホームページや案内に記載するはずですので事前に確認してください。
インプラント治療を行います、という看板を出している歯科医院は少なくありません。
ところが現実問題として、たしかにインプラント治療は行っているものの、年間の治療回数は数本という医院が、実はかなり多いのです。明らかに経験値が乏しい。治療を任せるのなら、誰しも経験豊富な医師にお願いしたいのではないでしょうか。

医師の技術は千差万別、歯科医院選びは慎重に

もしも今、次のように思っていらしたら、今後はその考えをあらためてほしいと思います。

「歯医者なんて、みな同じ。ほとんど腕は変わらないでしょ?だから通院しやすい近所の医院に通えばよい。」
そう考えている方を、とりたてて責めることはできません。なぜなら多くの人が実際にこのように思っているからです。

たとえば、すごく高価な買い物をこれからするとしましょう。クルマでも高級腕時計でもいいでしょう。そのような場合、皆さんは丹念にどこの店で買うべきか、検討するのではないでしょうか。その店は専門知識を十分に持っているのか、保証制度がきちんとしているのか、アフターケアは行き届いているのか、などなどです。

しかし歯科医院に限らず、病院通いをするケースでは、なぜだか真剣な医院選びを行わず、どこでもそんなに変わらないよ、となってしまいます。自分のカラダのことだというのに、これはとても不思議な心理です。

医師の技術には差があります。厳しく言うと、玉石混交なのです。人間が携わるわけですから、差があるのは仕方のないことなのです。そのことをうっかり見逃し、忘れてはいませんか、ということです。