状況に応じた、その他のインプラント治療法④

【ドリル無しのインプラント】
ドリルを使わずに(厳密には従来使用比の90%減)インプラントを埋め込める画期的な治療方法です。

インプラントの手術で多くの患者さんが恐怖心を抱くのは、ドリルを使う点にあるようです。ドリルというと、およそ手術らしくない響きのする言葉ですから、想像力がふくらんで余計に心配が募ってしまうのでしょう。
そのため、インプラントの手術は、高血圧の患者さんや怖がりの患者さんには、手術ができない現実がありました。

しかし、2006年についにドリルを使わずにインプラントを埋め込めるように技術革新がなされました。
このドリルを使わないインプラント治療は「OAMインプラント」といいます。
ドリルを使わない分、治療には少し時間がかかりますが、怖がりの患者さんにはうってつけの方法だといえるでしょう。

状況に応じた、その他のインプラント治療法③

【即時荷重インプラント治療】
インプラントを埋め込むのと同時に、その日に歯までかぶせてしまう方法です。歯が入るばかりでなく、その日のうちに噛むことができるようになります。

オールオンフォーの技術が、この即時荷重インプラント治療にあたります。オールオンフォーは、総入れ歯の患者さんにインプラントを4本埋め込み、ただちに人工の歯を12本入れる方法だと説明しました。しかしもちろん、単独の歯にもこの方法は採用できるのです。

ただし、骨の質があまり良くない状態の方には向いていません。たとえば、骨がすごく柔らかいとか、骨の量が少ない場合などです。アゴの骨の状態によって判断することになるでしょう。
患者さんの骨の状態を的確に判断できる歯科医であれば、即時荷重インプラントを推奨するはずです。

【磁石を使ったインプラント】
インプラントを埋め込んだ後、そのインプラントに磁石を取り付け、入れ歯の側にも磁石を付けることで固定する方法です。この治療方法も、メリットからあげてみましょう。
・手術が簡単(埋め込むインプラントの本数が少なくて済むため)
・費用が安い(インプラントの本数が少ないため)
・治療期間が短い。かぶせ物(上部構造)を入れる治療が必要ないため、治療期間が短縮できる。
・手術の負担が少ない。
・通常の入れ歯に比べ、噛む力はかなり強くなる。
・通常の入れ歯よりもコンパクトにできるので、装着の違和感が少なくなる。

しかしながらデメリットも否めません。
・入れ歯そのものの煩わしさから解放されるわけではない。よって、入れ歯自体に精神的や機能的な嫌悪感を持っている人には向かない。
・噛む力はたしかに高いが、通常のインプラントほどの間に力は発揮できない。

この2点のデメリットを、患者さん本人が問題視しないのであれば、非常によい方法だと言えます。費用の軽減と、手術の負担を軽減できる点は、とても魅力的です。

治療の具体的な流れについても説明しておきましょう。
【磁石を使ったインプラントの治療手順】
1.通常のインプラントをアゴの骨に埋め込む。
2.インプラントと骨が結合したら、インプラントに磁石を取り付ける。
3.入れ歯にも磁石を取り付けておく。
4.インプラント側の磁石と、入れ歯側の磁石が強固にくっつくことで、安定感にすぐれ、ビクともしない入れ歯ができる。

状況に応じた、その他のインプラント治療法②

数年前まで、この抜歯即時インプラント治療は大変難しいとされてきましたが、最近では技術革新が図られ、採用している歯科医院も増えてきているようです。

多くの歯を一手に支える治療方法の代表選手がオールオンフォーとするならば、1本や数本といった部分的なインプラント治療の代表選手が抜歯即時インプラント治療で、多くの患者さんに胸を張っておすすめできる手術方法です。

従来は、抜歯後6ヶ月経たないとインプラント治療ができないと考えられてきました。今でもそのように認識している歯科医は多いです。抜歯後は一時的に骨が少なくなるため、骨の回復を待つために6ヶ月間待つべき、と考えられてきたからです。

しかし実際は、骨は回復しても骨の量そのものは減って回復するのです。以前と同じ量にまで回復することはありません。そのため抜歯と同時にインプラントを埋め込んだほうが、かえって骨の減少を防ぐことができるのです。

良い点ばかりをあげてきましたが、抜歯即時インプラント治療にはデメリットは無いのでしょうか。デメリットは特にありませんが、歯を抜いた後の骨の量が少なすぎる場合や、抜いた歯の周りの病巣が大きい場合は、インプラント治療ができないときもあります。その場合は、GBR法(骨を増やす処置)をしたり、骨が自然に回復するのを待つことになります。

状況に応じた、その他のインプラント治療法①

インプラント治療には他にもまだ優れた方法があります。
患者さんの状況に応じ、最適な方法を選択できるのです。

【抜歯即時インプラント】
文字通り、歯を抜くと同時にインプラントを埋め込む方法です。治療内容を説明する前に、この方法のメリットを並べてみましょう。
・抜歯直後は、生体の治癒機能が旺盛になるため傷口が治りやすい。抜歯した部分の骨も回復が早い
・抜歯してから時間が経ってしまうと(たとえば従来のインプラント手術で5~6ヶ月)、骨が垂直的に吸収される(溶ける)が、この抜歯即時法では起こらない
・手術では切開、剥離を行わないため、手術の負担が減る
・早期に審美性が回復し、また歯グキの形が温存されるため、見た目がかなり改善される
・治療期間の大幅な短縮
・抜歯と同時にインプラントを埋め込めるので手術回数が減り、患者さんの負担が減る

「オールオンフォー」には、たくさんのメリットがあります③

~オールオンフォーの治療の流れ~

オールオンフォーの治療の流れを紹介します。およそ9のステップがあるとお考えください。あくまでも一例ですが1つの目安になると思います。

【ステップ1】
まずは初診です。ここでは、口腔内の検査、レントゲン検査、治療法の相談、費用と治療期間の説明などを行います。患者さんにあらゆる面でご納得いただいた上で、次のステップへと進みます。

【ステップ2】
手術当日に入れる仮歯を作るための型取りをします。必要があれば、仮歯製作のステップは2回かかることもあります。

【ステップ3】
オールオンフォーの手術をします。麻酔専門医による静脈内鎮静法を行うことがあります。オールオンフォー・インプラント植立後、仮歯を入れます。

【ステップ4】
手術の次の日に、医院にお越しいただき、そこで噛み合わせの調整と消毒をします。

【ステップ5】
手術後、約10日たったところで抜糸をします。

【ステップ6】
もし仮歯に違和感や不具合があるようでしたら、必要に応じて仮歯の調整を行います。

【ステップ】
手術を行った日から6ヶ月後に、最終的に入れる被せ物(上部構造)の型取りをします。

【ステップ8】
最終的な型取りをしてからおよそ3~4週間後に、かぶせ物(上部構造)を入れます。

【ステップ9】
その後は、3~6ヶ月後に一度のメンテナンスに入ります。

「オールオンフォー」には、たくさんのメリットがあります②

下アゴで4本、上アゴで4本(場合によっては5~6本)のインプラント埋入で済むので、とても経済的です。

オールオンフォーではない治療であれば、一般的に下アゴ、上アゴとも10本程度のインプラントを埋め込む必要があります。当然インプラントの数だけ費用がかさみます。

オールオンフォーであれば、埋め込むインプラントの数が決まっているので、最初から治療費の見通しも立てやすくなります。
オールオンフォーの場合、かぶせ物(上部構造)の設計上の自由度が高いため、審美的にも患者さんが納得できるきれいな歯を入れることができます。

このようにオールオンフォーは、非常にメリットの多い治療法なのです。

「オールオンフォー」には、たくさんのメリットがあります①

オールオンフォーは、前歯の部分に4本のインプラントを埋め込む形を採用しています。
前歯の骨の部分は、通常、骨がしっかりある部分なので、ほとんどの人が安心して確実なインプラントができます。

オールオンフォー以外の方法によるインプラント治療では、奥歯の骨にもインプラントを埋め込む必要があります。ところが奥歯の部分の骨には神経が通っているため、そこにインプラントを埋め込む場合、骨量を増やすためのサイナスリフトや、神経移動術といった手術を別に行わなければならないケースもあります。

オールオンフォーでしたら、そういったプラスアルファの手術をする必要は全くありません。上顎洞や大きな神経を確実に避けて、インプラントを埋め込めるからです。
サイナスリフトや神経移動術を行わなくても良いため、手術の身体的負担が激減します。誰しも手術の回数は少なく、簡単に終わったほうが良いはずです。

手術をした当日に固定式の仮歯が入ります。そのため、通常のインプラント治療のように歯が入るまで数ヶ月待つ必要がありません。
もしサイナスリフトをすれば、治療期間は1年近くかかってしまいます。それに伴って費用もかかってきます。オールオンフォーは、治療回数も治療期間も、大幅な短縮がのぞめます。

4本のインプラントで12本の歯を支えられる秘密②

オールオンフォーは、特に斜めに埋め込むインプラントがポイントです。斜めに埋め込むことで、上顎洞を避けることはもちろん、骨質のよい有利なゾーンへと埋め込むことができるのです。

それに、斜めに埋め込めば距離を稼げますから、長いインプラントを埋め込むことができます。
例えば物理的に考えても、壁に斜めに打ち込んだ釘は垂直方向の引っ張りにとても強く、ビクともしませんよね。インプラントでも同じことが言えます。垂直方向に10本のインプラントを埋め込むよりも、垂直に2本、斜めに2本埋め込むオールオンフォーの方が、断然強度が増します。

オールオンフォーは下アゴに施すインプラントにも最適な方法です。下アゴには下顎管という神経や血管が走った管があります。インプラントを埋め込む際には、この下顎管を避けなければなりませんが、斜めに埋め込むことによって、避けることができるのです。

この斜めにインプラントを埋め込む発想が、まさしくコロンブスの卵なのです。
オールオンフォーはたった4本のインプラントで、12本の強い歯を作れますので、コストパフォーマンスの高さは、あらためて言うまでもありません。

4本のインプラントで12本の歯を支えられる秘密①

オールオンフォーとは、その名称が示す通り、たった4本のインプラントで全ての歯を作ってしまう方法です。画期的という他ありません。

上アゴの12本の歯を作る過程を説明しましょう。

オールオンフォー以前の方法ですと、12本の歯を作って支えるためには、10本のインプラントを埋め込む方法が一般的でした。
ところがオールオンフォーでは、上顎洞を避けながら、まん中部分に2本、その両サイドに斜め2本、計4本のインプラントを埋め込みます。
(上顎洞とは、上アゴの上の鼻の奥にある空洞部分。人は誰でも、ここに空洞があります)

「オールオンフォー」という最先端の画期的な治療法

インプラント治療の技術の進化は日進月歩です。患者さんにとって、よりよいものへとどんどん革新が図られています。

つまり、患者さんへの負担が少なくなり、治療にかかる時間が短縮され、それでいて高い機能と効果をもたらす方向へと邁進しています。実に可能性のある治療法だともいえます。
ひとくちにインプラント治療といっても、治療方法は1つではありません。インプラント治療にもいくつかの種類があるのです。患者さんの状況に応じて、最良のやり方を採用します。

中でも、非常に有効なインプラント治療方法が「オールオンフォー(ALL-ON-4)」と呼ばれるものです。この方法が今、総入れ歯に近い人にとって、最先端のインプラント治療といって間違いありません。患者さんへのメリットも多いのです。

オールオンフォーのすばらしさを、1人でも多くの患者さんに知ってもらいたいと思います。患者さんに必ずや福音をもたらすインプラント。
そんなふうに表現しても大袈裟ではありません。