世界最短のインプラント1時間以内治療3

検査からオーダーメイドのインプラントが到着するまでに時間はかかりますが、治療後すぐに使いたいという要望に応えるために開発された技術です。

上顎のケースでも、その人の口の形に合わせて作ったサージカルガイドを口の中に置いて、指定の場所にインプラントを埋入していきます。その後、上部構造を乗せて1時間以内で終わります。

前歯はあるが奥に歯がない下顎のケースでは、奥の両側にインプラントを埋入するために、コンピュータ上で三次元映像を作ります。

このガイドに応じて、ドリルで穴を空けていきます。ドリルの長さも決まっていますので、解剖学的に問題のある場所、たとえば神経があるところなどには届かないようになっています。

スウェーデンで製作されたテンプレートの指示通りに、穴にインプラント体を植えていくだけで、まさに1時間という短時間で完成します。しかも出血がほとんどないという特徴があります。

骨の条件さえ整えば、こういう方法で治療することも可能な時代になっています。

世界最短のインプラント1時間以内治療2

テンプレートを患者さんの口に置いて、指定の通りの場所に、決まった方向、指定の長さのインプラント体を埋入し、それに上部構造(歯)を取り付けて完成です。時間は1時間以内に終了し、しかもほとんど出血もありません。

これは自身の歯が抜けて、しかも骨の量や質がしっかりしている方に適した方法です。事前に検査で来院いただき、CTで歯の土台の形をしっかり撮影します。コンピュータ上で三次元画像に処理して、インプラントを埋入する最適な場所とバランスを見つけます。

また、必要なインプラント体の数と方向を決めて、このデータをスウェーデンに送ります。スウェーデンでは、プラスティックの骨の模型上にインプラントを埋入したものを作り、完成した歯のイメージを形にします。

3週間後、インプラントを埋入する方向を決めたサージカルガイド(手術の具体的な方法)、オーダーメイドで作ったサージカルテンプレートが送られてきます。このサージカルテンプレートにはインプラント体を埋入する穴が空いており、決められた穴に埋入すればいいようになっています。

もちろん、インプラント体から上部構造まで全部オーダーメイドでスウェーデンから送られてきます。
治療当日は、指定された通りの場所にインプラント体を埋入し、上からねじで留め、その上に歯を装填することで完成します。

まさに1時間以内という驚異的な速さで完成する最新のインプラント治療です。

世界最短のインプラント1時間以内治療1

歯科治療もドッグイヤーの時代を迎えているようです。早く簡単に便利にという要求に対して、新しい技術が開発されています。「1時間以内完成インプラント治療」です。

ベルギーのスティンベルグ教授が、2002年に発表した論文がベースになっているもので、コンピュータ上でシミュレーションをして、事前にイメージ手術をやることで時間短縮を可能にしました。

最近は脳外科や心臓外科など難しい手術であればあるほど、事前にCTを撮り三次元的に患者さんの手術部位を確認し、治療に際してどこからどのように手術すればいいかをコンピュータ上でシミュレーションして、その結果をもとに、本格的治療を決定しています。

インプラント治療においては、仮歯ではない正式な歯を作るのに時間がかかるために、どうしても短時間に完了することは難しかったのです。

そこで考え方を変えて、事前に正式な歯を患者さんに合わせて作っておき、その歯に合わせてインプラントを埋入するという方法が研究されました。

事前にCTを撮影し、コンピュータ錠で上顎なり下顎なり治療する場所を特定し、解剖学的に、どれぐらいの深さでどの方向にどのようにインプラントを埋入すればしっかりと固定することができるかを探ります。

その情報をもとに、コンピュータ上にモデルを作りインプラント体を置くことで、インプラント体が入った模型ができます。歯肉の厚みが何ミリであるかもわかっていますので、歯肉も被せた状態でまず歯を作ります。

そのモデルをもとに、インプラント体を埋入する場所の穴が空いているテンプレートをプラスティックで作成します。

虫歯や歯周病にかかる危険度も高くなる

歯を抜けたまま放置した場合のもうひとつの問題は、残っている健康な歯まで虫歯や歯周病にかかるリスクが高くなることです。
その理由は、空いたスペースがあると、隣の歯がそちらへと傾いてくるからです。歯はその場に固定されているわけではなく、状況に応じて動きます。
歯はもともと垂直方向からかかる力には強い構造になっていますが、横方向からかかる力にはめっきり弱いのです。傾いた歯でかむと、横からの力が強くかかるので、歯が痛んだり、根に過剰な負担がかかって、ついにはグラグラしてくることもあります。
しかも、傾いた歯の陰になる部分は歯ブラシがうまく届きません。結果、虫歯や歯周病にかかりやすくなるのです。
それでも長期間放っておくと、ドミノ倒しのように歯がどんどん移動してきて、ついには抜けたスペースが埋まってしまうことさえあります。ここまで歯が動くと、かみ合わせが非常に悪くなるだけでなく、顔の形も変わってしまいます。
歯を失ったために、どれだけ生活に支障が出るかは、人によって様々です。実際には、こうした問題が起きてもほとんど気にしない人もいます。しかし、歯を一本失うだけで、健康だったほかの歯にも悪影響が出てしまうのは確かです。口の中の健康を保つためには、やはり抜けたまま放置しないことが第一です。
あなたの口の中には抜けたスペースはありませんか? もしあるなら早めに代わりの歯を入れてもらいましょう。かむ力がよみがえるだけでなく、見た目も良くなって、生活の質がグンと改善されます。

1日で完了するインプラント治療3

それ以前に、ルンド大学のエリクソン教授が3つの論文を出しています。

猿や犬で実験したように、人間にもインプラント体と同時にアバットメントも入れてみて、差があるかどうか実験しました。今まで通りインプラント体を埋入後4ヶ月おいてから手術をしてアバットメントを入れる方法と、最初からアバットメントを同時に入れる方法ではその後の成否に差がありません。

4ヶ月経って上部構造をつけたところ、どちらのケースもまったく差がありませんでした。
そこで4ヶ月おかないで、インプラント体を埋入してから1ヶ月から3ヶ月の間に上部構造を乗せてみたところ、これも差がありません。いきなり乗せても差がみられませんでした。

この研究は、総義歯の患者さんのおとがい孔の部分を使って行っています。これによっておとがい孔間ならば即日治療できることがわかりました。先のシュニットマン教授は奥歯で実験をしていましたが、エリクソン教授の実験によりおとがい孔のほうに3本埋入したら絶対うまくいくのではないかということがわかりました。

これが1999年のブローネマルク博士の新しい開発につながっていきます。
咬合圧とインプラント体の本数にヒントを与えた論文は、ゴー・ランガー教授の力学ベクトルの論文で、3本で可能であることを示唆しています。

このようにインプラント治療は、多くの研究者の理論を組み合わせて実験しています。

歯はひとまとまりで働いている

大人の歯は、親知らずを除くと、上下それぞれに14本、計28本あります。歯は1本1本が独自に働いているわけではありません。上下それぞれで歯列と呼ばれる一列のまとまりを作り、さらに上の歯列と下の歯列がうまくかみ合うことによって、かむときにかかる力を分散するなど歯の働きを支えています。歯が一本でも失われることは、上下のかみ合わせが壊れてしまうことです。その結果、歯が本来持つ働きである。1.かむ力、2.正しく発音する力、3.食べ物や飲み物を飲み込む力、4.見た目の美しさ、のいずれか、あるいはいくつかに、支障が出てしまいます。

例えば、前歯が一本でもなくなれば、見た目が悪いだけでなく、食べ物をうまくかみ切れなくなります。歯のすき間から空気がもれるようになるので、発音にも影響します。
人前で口を開けて笑えなくなったために、仕事や人づきあいに支障が出てしまう人もいます。もし、2本ある前歯の両方を失ってしまった場合は、顔の形さえ変わってしまいます。一方、奥歯が抜けた場合は、抜けた方の側では食べ物をかみ砕きにくくなってしまいます。その結果かみ砕きやすい抜けていない方の奥歯ばかりを使うことになり、かみ合わせのバランスが崩れてしまいます。
下の奥歯が抜けた場合は、その歯と噛み合っていた上の奥歯が、次第に下の方に出っ張ってきて、歯の根が露出してしまうという問題もあります。
そのほか、食べこぼしをするようになってしまったり、上手に飲み込めない、未消化の食べ物が胃腸に流し込まれて内臓に負担がかかるなどといったトラブルが引き起こされることも考えられます。

1日で完了するインプラント治療2

博士以外にも多くの医師や研究者が論文を出していますが、スウェーデンのシュニットマン教授も面白い研究を発表しています。

シュニットマン教授は、下顎総義歯の患者さんの前歯部にインプラントを埋入する手術を行いました。通常は術後4ヶ月間、インプラントを埋入した場所に仮義歯を乗せて、インプラント体が骨とオッセオ・インテグレーションするのを待ちます。

そのまま4ヶ月ほど放置する計画でしたが、これでは4ヶ月間、食事も満足にできずあまりにも忍びない状態です。そこで両側の一番奥の2本と、真ん中の1本と、残っている5本は通常通りインプラント埋入から4ヶ月経って上部構造を作りました。しかし、この3本についてはすぐに仮歯を装填して食べられるようにしました。

すぐに歯を装填したインプラントはダメになるだろうとう思われましたが、この3本の仮歯が、なんと85パーセント使えました。壊れずに、インプラントが生き残ったのです。もっとうまい方法を考えると、3本だけでインプラントができるのではないかというヒントになりました。

これが、即日完成治療の一番基礎になった最初の発見です。

1日で完了するインプラント治療1

人間の欲求はより便利なものを求める傾向があります。

インプラント治療によって自分の歯のように噛めるようになるのは歓迎ですが、治療に時間がかかるのが難点という声があるのも事実です。

「噛めると言ったのに、手術をしてさらに待たされる。何とか早く噛めるようにしてください」
「治療したら、すぐに噛みたいのです。どうにかなりませんか」 という患者さんの要望が非常に多いようです。

インプラントを埋入して、その日のうちに食べさせる研究をまとめた論文は1990年代から報告されています。ブローネマルク博士も、1999年に報告しています。

博士の方法は、上部構造(歯の部分)を先に作っておき、それに合わせてインプラントを埋入するという考え方に基づいて行われた研究です。

これが画期的なところは、上部構造が先で、それに合わせてインプラントを埋入するという逆転の発想だったことと、下の歯16本を支えるのに、わずか3本のインプラント体で保持するという2点です。

抜けたすぐにインプラント体を埋入する1

人生は何が起こるかわかりません。いきなり転倒して歯が折れてしまうこともあります。

このように、歯が抜けたばかりのところに、すぐにインプラント体を埋入する技術もあります。
歯が抜けたあとに、いきなりインプラント体を埋入する場合は、抜けた後の穴の大きさが問題です。

歯の抜けた穴は大きいので、インプラント体を埋入しても隙間ができます。隙間が1.5ミリ以内で、深さが3ミリ以内なら穴の中に何も入れなくても骨ができて埋まってくるといわれています。ところが、それ以上の大きさでは、本人の骨と骨補填剤を入れて骨を作る必要があります。

歯の抜けた穴にインプラント体を埋入し、その周囲に骨と骨補填剤を入れて周囲を埋めます。このままでは骨補填剤が出てきてしまうので、口蓋の内側から結合組織を取ってきて歯肉に定着するまでの仮の蓋をします。

これにより、骨がしっかり再生され、しかも中の骨補填剤が飛び出してくることありません。
もし、この技術を使わないと骨が盛り上がりませんし、インプラント体が安定しません。

歯が抜けたばかりの患者さんには、短時間で治療するのが理想ですので、一日といわず、一時間で仕上げる方法を用います。

抜いた歯の場所にインプラント体を植えて、すぐにアバットメントを連結して、樹脂の仮歯を被せて機能させます。咬合調整が適切であれば、98症例で98.9パーセントの成功率の報告もあります。

美しく仕上げるポイント4

歯肉に適切な盛り上がりを作り、隣の歯肉とマッチした形を作り上げます。上から見ると、インプラントを頂点とした逆三角錘になるように歯肉を形成します。この歯肉の形成を行わないと、歯肉からインプラントの根が飛び出して見えるほど、長くなってしまいます。

また、歯を装填するアバットメントをポーセレンにすることで、根元も自然な白さになり、歯肉の色と艶とふくらみも同じように仕上がります。骨と歯肉のハーモニーは、こうして作り上げるのです。

年を取ってくると、どうしても歯肉が下がるので、歯肉と骨を同時に作ることできれいな仕上がりを目指します。人の歯は色や傾きや出っ張り具合、欠損形態も全部違います。中には歯が割れて歯肉や骨まで炎症を起こして抜歯後大きく骨が欠損する場合があります。

そうしたケースに対しては、骨を補填してメンブレンで覆って移植骨の吸収を抑えながら骨を作ります。歯肉の幅も増えるようにメンブレンで補修します。全体のバランスを見て、歯芽のガムライン、歯肉のラインも全部揃え、歯芽の10.5ミリのラインを揃えて仕上げます。

こういった必要と思われるすべての治療を実施するのが、審美です。補填の理論と骨の再生、歯肉の形成など外科の理論も全部わかっていないとうまく仕上げることができません。偶然できるわけではなくて、狙って、目標をもって治療しているからこそ、美しい仕上がりになるのです。