美しく仕上げるポイント3

現在パピーラ・ビルドアップを作ることができる医師はまだまだ少ないです。というのも、骨を作る技術を持っている医師でなければ、骨との距離を測りながら行う歯肉の歯間乳頭を付けることができないからです。

たとえば、歯周病で歯はあっても骨がないので、インプラントを埋入することになったケースでは、どの位置に何ミリのインプラントを埋入すればいいかを決めてから、骨を盛り上げるために、ヒーリングアバットで骨の高さを上げる目安を決めます。

これは歯肉を切除したところに骨補填剤を入れてメンブレンで覆ってから、歯肉を縫い合わせてカバーする方法です。そうすると、骨ができて歯肉が盛り上がってきます。数か月後に切開してヒーリングアバットを除去しここに仮歯を入れます。

この後がポイントで、あたかも歯肉から歯の根が出てきたような歯肉の形態に見せます。歯肉貫通部のトラディショナルカウンターを作ります。

美しく仕上げるポイント2

自分の歯とインプラント体が並んでいる場合の距離については、1.5ミリ、つまりインプラント同士が隣り合わせになるケースの半分で済みます。歯は自分の骨を守ろうとするので、これくらいあればなんとかなります。

歯と歯の間には歯間乳頭という歯肉が盛り上がって隙間を埋めています。インプラントの場合は、事前に計算して間隔をとらないと、歯と歯の根元に隙間ができてしまうことになります。

歯と歯が接触している場所、コンタクトポイントからインプラント間の骨の位置までの距離が5ミリ以内なら確実に歯肉で埋まりますが、間隔が開けば開くほど歯間乳頭によって埋まる確率は少なくなります。

つまり、歯と歯の間に隙間ができて、黒く見えてしまうことになります。7ミリも開いてしまうと27パーセントしか埋まらないので、見た目が悪くなります。そこで、歯と歯のコンタクトポイントと骨のトップの間を5ミリに作り上げます。これはパピーラ・ビルドアップの理論といわれます。

美しく仕上げるポイント1

審美の基礎になるのは、骨に高さがあること、正しい歯肉の厚みと見た目の美しさです。これに正しい位置にインプラント体を埋入することで完成しますが、この環境を整えることが難しいのです。

特に、上顎の前歯の場合、骨がしっかりしていないと歯肉が陥没することがあります。笑っても歯肉が見えない場合は問題ありませんが、歯肉が見えるケースでは見た目が悪くなります。だからこそ、歯肉と骨の両方を作る必要があるのです。

また、数多くの歯が欠損した場合は、時間が経てば経つほど、歯肉の委縮と骨の吸収が進むので、元に戻すのが難しくなります。そのうえ、歯が5本抜けたといっても、インプラント体を5本埋入すると仕上がりが悪くなります。

特に、隣のインプラントとの距離が短いと骨が吸収されてしまうことがあります。インプラント体とインプラント体が近づけば近づくほど、骨は深く吸収されてしまうことが確認されています。このためインプラント体同士の幅は、最低3ミリ必要であるといわれています。

もし、インプラント体とアバットメントの連結後期の骨吸収1.5ミリメートルが始まったとしても、3ミリの間隔があれば隣の骨には影響が出ません。歯肉の厚みも3ミリなければその差を埋めるために骨が吸収されるということがわかっていますので、3ミリ以上の歯肉厚が必要です。

人目を引く美しい口元を作る3

歯の長さは一番にあたる前歯の長さが平均で10.5ミリといわれます。

前歯が極端に大きい人を除いて、前歯に合わせて歯のラインが連なっています。これらの歯の先端からは10.5ミリ下のところに歯肉が並んでいなければきれいに見えません。加えて、歯肉の深さは骨までに3ミリ程度あることがいい歯の条件といえます。

骨の位置と歯肉の位置と歯の切縁の位置は黄金分割のように理想的に決まっています。それを知った上で、その法則に則った形で作り上げないと美しく仕上がりません。

天然の美しい歯を見ると、歯と歯の間に歯肉が入り込んでパピーラ(歯間乳頭)ができています。歯周病で骨が吸収されてしまっている場合は、歯肉が一直線で歯間乳頭がないことが多いです。これではエステティックとは言えません。

また歯の色が1本だけ変色していたり、インプラント体の一部が飛び出して見えているような場合も美しくないので、これらを総合的にコントロールし、再生することでエステティックを目指す治療を行わなければなりません。

最高の美しさを作り上げるには、ミリ単位に仕上げる細心の技術が欠かせないのです。

人目をひく美しい口元を作る2

歯科治療においては、補綴も重要な要素です。

補綴というのは歯を被せることですが、美しく見せるには補綴の知識や技術、自然で美しい歯を作るラボ(技工室)の腕や理論的裏づけがひじょうに大切です。歯肉に注目すると、ガムラインを揃えることが最大のポイントといえます。

ガムラインとういのは歯と歯肉の境目のラインのことで、ここがきれいで適切なカーブを描き揃っていると、とても美しく見えます。

ガムラインが不揃いだったり、歯肉が不健康な色では見た目がよくありません。歯との境目の歯肉の形は、貝殻のカーブのようなスキャロップの形になっているのが理想的なので、1本1本の歯の歯肉をきれいなカーブを描くように形を整えます。

うまくやらないと歯肉がつれるなどしてとても汚らしく見えます。これに加えて、歯肉のガムラインが歯の切縁ラインとならんでいることが重要です。

歯の切縁のラインをスマイルラインといいます。口を開いたときに、歯の並びが整然と揃っていてスマイルラインと唇とがバランスが取れ、一定の高さで揃っているのが最高の状態なのです。

人目を引く美しい口元を作る1

現代は、すべてにおいてエステティックであることが求められます。

インプラント治療も機能回復だけでなく、見た目を健康的に美しく見せるということが求められるようになっています。

歯科における美しさの基本は何かと言えば、歯と歯肉がバランスよく美しくならんでいることに尽きます。女性だけではない、男性でも誰から見られてもおかしくないようにエステティックに仕上げる必要がありますので、近年エステティック・インプラントの重要性がますます高まってきています。

エステティックに仕上げるには基本がありますが、最大のポイントは、歯肉と骨のハーモニーです。

インプラント体を埋入するところは、骨、つまりハードティシュー(硬い組織)です。その上には歯肉というソフトティシュー(柔らかい組織)があり、当然骨がなければ歯肉も安定しません。その2つをいかにバランスよく仕上げるかが、第一のポイントです。

インプラントを埋入する位置が適切であることも大切で、理想的な場所に埋入されていたほうがより美しく見えます。

下顎の神経を移動させてインプラント体を埋入する2

まずおとがい孔を通るおとがい神経周囲とその後方の下顎管を通過する下歯槽神経の通る外側の骨を切り取り、神経や血管をいったん外に出します。

これらを骨の外側に出したところでインプラント体を埋め込み、埋入が完了したところで、元の場所に神経などを戻すことで完成します。神経や血管を傷つけることなく、インプラントを埋入できます。

まれに麻痺が出るケースがありますが、時間が経てばある程度慣れてきます。この知覚麻痺は10人に1人の割合で起こります。難しい技術ですが、これを事前に行っておけば、骨を再生することなくインプラント体を埋入することが可能です。

技術は必要ですが、この方法を使うことで骨が吸収されている人でも、新たに骨を再生することなくインプラント埋入が可能になります。

下顎の神経を移動させてインプラント体を埋入する1

インプラントが成功する条件として、患者さんの骨がしっかりしているという項目があります。

だからこそ、今までは骨がしっかりある人を対象に、インプラント治療が行われてきました。しかし本当に困っているのは、歯周病で骨まで溶けて吸収されて歯がグラグラしている方や、長い間入れ歯を使っていたために、生理的咬合圧がかからず骨が吸収されてしまっている方です。つまり、歯と骨のなくなってしまった人こそ切実にインプラントを必要としているのです。

上顎に比べて比較的硬くて大きい骨である下顎については、骨の吸収があったとしてもインプラント埋入が可能なケースが多いです。骨はある程度の高さと厚みがないとインプラント体を骨にしっかり固定することができません。しかし、下顎に限っては骨の高さが足りなくても長さ7ミリのインプラント体を埋入することで、しっかりと固定することが可能です。

下顎に、インプラント体を埋入する場合に、障害となるのが臼歯部の骨が著しくなくなっているケースです。ここには、おとがい孔と下顎管があり神経が通っています。この神経は下唇の知覚を司っており、インプラント体を無理に深く埋入すると神経の束を傷つけます。

例えば、下顎臼歯部(奥歯)で下歯槽神経(下顎管)までの骨の高さが6ミリもない場合は、インプラントを埋入する前に、神経を一時的に引っ張り出して移動させます。この治療を「下顎神経移動術」といいます。

完全に吸収された上顎の骨を再生する3

骨がないケースに関しては、どの治療をどのように組み合わせて骨を効果的に増やすか、または周囲のどの骨をインプラント体の維持に利用するか、計画を立てて行うことが大切です。

骨の再生技術はすべて手作りが基本です。インプラント体に取り付ける歯(上部構造)は、綿密な計画により、咬合圧を分散し、オーバーローディングしないように作ります。

こうした多くの技術は、歯周病で歯を失ったばかりか、骨がほとんど吸収されてしまい、入れ歯もインプラント治療を使うことが提唱されるようになったのは、1990年頃からで、現在では学会の常識となっています。

歯を取り戻すということは、そもそも骨を取り戻すのと同じことです。美しい歯は、技術の高いラボで作られた歯をつけることで完成します。しかし、その下にはしっかりとした骨があり、その骨があるところにインプラント体を埋めてこそ美しさが際立ちます。

インプラント治療は、見た目のよさを支える補綴(歯の装填)の技術とラボの技術、骨を作る再生技術などの総合力が求められるものなのです。

完全に吸収された上顎の骨を再生する3

骨がないケースに関しては、どの治療をどのように組み合わせて骨を効果的に増やすか、または周囲のどの骨をインプラント体の維持に利用するか、計画を立てて行うことが大切です。

骨の再生技術はすべて手作りが基本です。インプラント体に取り付ける歯(上部構造)は、綿密な計画により、咬合圧を分散し、オーバーローディングしないように作ります。

こうした多くの技術は、歯周病で歯を失ったばかりか、骨がほとんど吸収されてしまい、入れ歯もインプラント治療を使うことが提唱されるようになったのは、1990年頃からで、現在では学会の常識となっています。

歯を取り戻すということは、そもそも骨を取り戻すのと同じことです。美しい歯は、技術の高いラボで作られた歯をつけることで完成します。しかし、その下にはしっかりとした骨があり、その骨があるところにインプラント体を埋めてこそ美しさが際立ちます。

インプラント治療は、見た目のよさを支える補綴(歯の装填)の技術とラボの技術、骨を作る再生技術などの総合力が求められるものなのです。