インプラント治療後のメンテナンス
●インプラント治療終了後は、そのインプラントを長期間使用していくため、定期的にメンテナンスをしていく必要があります。
インプラント治療によって入れられた歯根・歯は「人工のもの」なので虫歯にはなりません。しかし、正常な機能を保つためには丁寧なケアが不可欠です。
例えば、インプラントが正常に機能しなくなる病気に「インプラント歯周炎」があります。これは、歯周病と同じく歯肉が腫れ、あごの骨(歯槽骨)が溶けてしまう病気です。歯槽骨が溶けると、インプラントを支えきれなくなり、最終的には抜け落ちてしまう恐れがあります。
つまり、歯を失ってしまったときと同じようなケア状況では、天然歯と同様に人工歯まで失うことになってしまうのです。
定期的なメンテナンスは欠かせません
適切なホームケア(ブラッシングなど)や歯科医院での定期的なメンテナンスは欠かせません。歯科医院での噛み合わせのチェックや、レントゲン写真による点検なども積極的に行いましょう。
定期的なメンテナンスというのは、言ってみれば、車の車検と同じです。車の場合、燃料であるガソリンだけを補給していれば良いというものではなく、定期的なオイル交換やメンテナンスをしなければ、ある日突然動かなくなってしまうでしょう。
毎日普通に使っていたのに、ある日突然使えなくなる…メンテナンスを怠れば、インプラントにも同じことが生じかねません。
当院のメンテナンスの方針
●当院では担当衛生制度を採用し、医師や衛生士も含めた担当スタッフチームを組んで、個々の患者さまを丁寧にケア・メンテナンスしていきます。
私は、実際にインプラント治療を行った医師自身が、メンテナンスにもしっかり関わり、ケアしていくべきだと考えています。
そのために、新規のインプラント治療(手術)を、年間300本までに抑えているといっても過言ではありません。
「年間1000本!!」 でも手術後のメンテナンスは?
年間1000本のインプラントを埋入することも、それだけに専念するならば不可能ではないのですが、本当に「手術を行うだけ」になってしまい、クリーニングやメンテナンスに関わる時間はなくなってしまうと思われます。
実際、現在の「年間300本」というのも、手術に辿り着くまでの診察や検査まで含めると、物理的にギリギリ限界といったところです。
だから、「年間1000本」などと謳っているところでは、たぶん、医師は手術後のメンテナンスには関わらず、後のケアは、他の医師や衛生士任せになってしまう場合が多いのではないかと想像します。
メンテナンスも含めて、治療に責任を持つために
患者さまのもともとの口腔内環境や、インプラントの状況などに一番精通しているのは、実際にインプラントを行った医師自身です。
手術前から手術直後、そして、メンテナンスに来ていただいた時点と、すべての様子を知り、変化やトラブルにいち早く気づくことができるのも、やはり「実際に手術を行った医師」のはずです。
私は、自分が手術を施した患者さまに責任を持つためにも、年間の埋入本数を削ってでも、ケアやメンテナンスにも関わっていきたいと思います。歯科医たるもの全員が、そうあるべきではないかとも考えます。